一般社団法人 那覇青年会議所
第63代理事長 所信 玉城 大地
2025年 基本理念
奉仕の精神
~共に助け合い、共に成長しよう~
2026年、首里城正殿が復元予定である。
沖縄が世界に誇るシンボルを待ち遠しく感じているのは私だけではないだろう。
首里城の再建を目前に控え、その存在価値を今一度世界に示し、多くの人の心に光を灯したい。
誰も経験したことのない事業をしようじゃないか。
那覇青年会議所が誇る、魅力溢れる〝個〟を結集し、挑戦しようじゃないか。
青年会議所の根幹である「ひとづくり」に重きを置き、自らが率先して行動し、奉仕の心でメンバーと向き合い、新たな時代の始まりとするべく、私が全会員の先頭に立ち全身全霊で取り組むことを誓う。
はじめに
現在、那覇青年会議所に在籍する会員は、コロナ過前の2019年までに入会したのが5名となる。会員拡大活動に力を入れ2020年は25名、2021年は26名、2022年は20名、2023年は34名と会員を拡大してきたが、卒業の会員や退会者なども多く、現在2024年スタート時は54名となった。
その中で3年未満の会員が8割となり、コロナ過で国際交流、地域交流、対外的な事業などの機会が減ったことにより、JCの魅力を十分に体感する事ができなかった会員がほとんどとなる。
コロナ過であった2020年以降の入会した私たち会員は、本来のJC運動でやる内容が定着できているか、疑問が残るのもまた事実である。
JC運動とはなんなのか、そもそも私たちの存在意義や私たちの使命はなんなのかを改めて認識する必要がある。
私とJC
私は、那覇市首里で育ち、大阪の大学を卒業して父の会社を継ぐ為、埼玉県にある同業の会社へ就職した。約3年間の修行を経て、沖縄に戻ってきたタイミングで那覇青年会議所の門をたたいた。
実は、那覇青年会議所との出会いはこの時が初めてではない。
当時、私が11歳、小学生5年生の時に那覇青年会議所の事業であるサマーキャンプ国際事業で関わったことが初めてである。香港北区JC会員の家族の家にホームステイし、空手の演武や異国の食文化に触れ、初めての海外交流という濃厚かつ貴重な体験をさせて頂いたのを今でも鮮明に覚えている。
私が入会した当時29歳の時期、〝2代目〟というレッテルにコンプレックスを抱いていた。
顔を売ろうと社外へ飛び込み名刺交換すると父(創業者)の話。
他人から「社長が変われば会社は潰れる」「2代目は保守的だからだめだ」などネガティブな事を言われる日々で焦りが募る一方であった。そんな私が人として自己成長しなければ会社、家族を守れない、そんな思いで自己修練を求めた団体がJCである。
出会う人、見るもの、聞くもの、感じることすべてが新鮮であり、この青年会議所という組織には〝人が人でしか磨かれない〟自身の成長に繋がる無限の可能性が秘められていると感じた。
自分自身を磨くためにも、会員拡大委員長、副理事長、復帰50周年記念実行委員会委員長、規則財政局長、専務理事と様々な役職に挑戦させて頂いた。重要なことは、決して役職をこなすことではない。
重要なことはやった事もない、できるかわからない事に失敗を恐れず、まずは何事も挑戦するという行動力を磨く事が成長する最初の過程でもっとも重要なことだと信じているからだ。
道を見失いそうになったとき、悩んだとき、私は、必ず自分自身で自問自答することがある。
「JCという存在は自分にとってなにか。」
年齢、業種、価値観、当たり前が違う、それぞれ魅力溢れる〝個〟が集いとなり、那覇市の未来のため明るい豊かな社会の実現に向け行動しているこの組織。
気づけば、私も日々JC活動に精神している。
それは一体なぜなのか。
私にとってJCという存在はどのようなものなのか。
私にとってのJCとは〝人〟として成長する学び舎である。
私は、そんな学び舎で仲間とともに損得なしで人のために尽くす人へと成長する組織にする。
私たちの人生は1回きり。
失敗もできず、何も行動できなければ悔いしか残らない。
私は、自分自身の可能性にチャレンジし、この那覇青年会議所という組織が私たちの地域のために、どのようなことができるのかを追求していく。
私たちの成長とは
私たち青年会議所の使命とはなんなのか。
それは、JCI Missionにある、私たちに「リーダーシップの開発と成長の機会を提供」、そして、私たちが「まちにより良い運動をつくることができるようになる」ことである。
より良い運動をつくることができるようになる前に、まず私たちがより成長することが必要になってくる。成長とは、スキルアップなど色々なとらえ方はあるが、私が思う本当の成長とは、損得なしに人のために私心を捨てて力を尽くすこと(奉仕)ができるようになることである。自分以外の人に奉仕できるようになること、そして社会活動ができるようになることが、JCにおける〝成長〟である。
2022年、近年しばらく行われていなかった大規模事業である沖縄本土復帰50周年記念事業の実行委員長という大役をいただいた。しかし、入会2年目の私は、事業の議案作成が初めてであり、責任ある役職をいただけたのは嬉しいが、メンバーや関わる全ての方、当日の来場者の方に迷惑がかからないような事業が構築できるのか、事業を成功させる事ができるのか、不安が募る日々が続いた。
1回目の議案上程から気付けば6か月上程し続け、思うように進まず心が折れかけていた。そんな中、私を気にかけて助けてくれるメンバーがいた。私のために本来の事業の軸を正してくれて、議案を見直し、作成方法はもちろんのこと事業構築やアドバイスをいただいた。
決してその方とは特別に仲が良いわけでもなく、ビジネスの関係も無かった。それなのにその方は私の為に大切な時間を使ってくれた。この体験からJCでの成長というのは、人に無条件で奉仕ができるようになる事(人としての成長)だと確信した。
奉仕する事は決して特別に難しい事ではない。例えば、歩いていて前を歩く人が持ち物を落としたとする。それを拾って落とした人に返すだけでも人の役に立つということである。
重要な事は、誰かのために役に立たないといけないのではなく、私たちが人の役に立ちたいと思う事である。
損得なしに人のために尽くし、「ありがとう」と言われる人へと共に成長していこう。
その「ありがとう」という言葉が私たちの成長の証である。
リーダーシップの核心(人財育成)
現在、那覇青年会議所の会員数は65名(2024年4月時点)、その中でも全会員の8割は入会歴3年未満となる。今、那覇青年会議所には、これからの次世代を担うリーダーの育成が求められる。
2022年に私たち使命であるJCI Missionが改定された。
「リーダーシップ」とは、目的思考と行動力を兼ね備え、周囲の人々へ影響力を発揮することである。これらの能力の開発と成長の機会を得ることによって、青年が社会により良い変化をもたらす。と定義づけされている。わかりやすく言うと、現在取り組んでいることについて、何の目的のためにやっているのかということを常に意識し、やった事もない、できるかわからない事に失敗を恐れずチャレンジして主体的行動をしていく事である。
今、私たちの行動はどうなのか。
一生懸命行動している人、失敗している人、中には失敗する事が怖いから遠慮する、やり方がわからないからやりたくない、そもそも何のためにやっているかわからない方も少なくはないだろう。
でも、心配することはない。
なぜなら私もその一人だったからである。この自身の殻を破ることは時間が掛かったが、何事にも挑戦することで心配や不安は小さくなってくる。一部のメンバーだけでなく、全会員が組織全般的に関わり、同じ目的思考で、失敗を恐れずチャレンジし、率先して行動していくリーダーになろう。その一人一人の行動が周囲の人々への感情や価値観に訴えかける力となるのだから。
〝今〟しかできないこの学び舎だからこそ、まずは一緒に主体的行動をしていこう。
組織の力(会員拡大)
1959年6月20日に沖縄青年商工会議所が誕生し、初代会頭である瀬長浩先輩は「まずやるべきことは生まれたばかりのJCを世に認知し会員を拡大する」ということから青年会議所活動は始まった。
それから現在まで会員拡大活動は途絶えることなく65年間継続し続けており、組織において会員拡大はJC活動における1丁目1番地、会員拡大はJCの根幹をなすものである。
思い返せば、2021年、当時の理事長が掲げた会員拡大3年100名組織計画の1年目に私は会員拡大委員会の委員長を務めた。事業を行う時間がもったいないという理由から事業を行う事はせず、ひたすら愚直にアポを取り続けていた。
会員拡大活動を行い、入会候補者と面会するにつれて気づいた事があった。それは、ほとんどの方がどのような活動を行っているのかではなく、どのような人がこの組織に所属しているのかを気にしているということだった。対外的な活動の前提に私たち会員の〝人としての魅力〟が重要となってくる。
私の会員拡大活動は、とにかく人数だけを追いかけ、会員の質を無視して誰でも入会させればいいと思っていたが、そうではなかった。
トラブルが起きてからでは遅く、JCの評判を落とせば本末転倒になる。
愚直に会員活動をするだけではなく、「この人の誘いがあったから」「この人がいる組織だから」と言われる魅力ある人へと成長し、組織力を高めることで、地域をリードする若き人財を増やし、JC運動を最大化していけるよう、共に私たちの仲間を増やしていこう。
友好の輪へ踏み出す一歩(国際交流)
これまで、那覇青年会議所はJCI台北四海、JCI香港北區と姉妹締結を結び、長きにわたり児童交流事業などを通して友情を深めてきた。また、2020年には都市国家であるシンガポール共和国JCIマンダリンとも友好締結を結んだ。
しかし、近年、那覇青年会議所では徐々に国際交流する会員が減ってきている。恥ずかしながら私は英語がまったく話せず、海外には苦手意識があり、その参加していない一人であった。JCI visionに記されている、「青年会議所が、若きリーダーの国際的ネットワークを先導する組織となる」という私たち青年会議所の最終目標から逃げている自分がいた。
苦手な事から逃げるのではなく、実際にJCI香港北區、JCIマンダリンの総会へ参加すると、そこには学びと感動があった。その国の風景、歴史、文化を肌で感じることができた。JCに入会していなければ、こんな貴重な経験をすることは無い。言葉で表現する事は難しいが、実際に現地に行ってわかる魅力や交流してわかる魅力を感じる事ができた。
会員の中には私と同じ国際交流に対して苦手意識を持った方がいると思うが、私と共に、苦手意識という壁を乗り越え、これまで先輩方が長年育んできた姉妹JCとの友好をさらに深めていけるよう、一歩踏み出せる機会を提供していたい。
地域の問題は私たちの課題
沖縄県が本土復帰し、本土との格差是正や経済の自立化を図るために、3次の沖縄振興開発計画と沖縄振興計画、そして沖縄21世紀ビジョン基本計画のもとで様々な施策が推進されてきた。その結果、本土に比べ大きく立ち遅れていた道路や空港、港湾、ダムなどの整備は着実に進展してきた。観光産業が沖縄県の地域特性や航路の拡充、県内の受け入れ態勢の整備などを背景に、リーディング産業として成長してきた。
コロナウイルスが収束し、沖縄県の基幹産業である観光産業を中心に回復基調で推移し、コロナ禍で大きく落ちこんだ入域観光客数は、2023年では8,235,100人と、過去最多である2019年の10,163,900人の81.0%の水準まで回復した。
外国人観光客においては986,300人と2019年の2,930,000人の33.7%ではあるが、今後も更なる増加が見込まれる。しかし、受入体制は万全に整ってはおらず、再構築にあたり、どの産業でも人手不足の深刻化などが懸念材料となっている。
これまで総人口が増加し続けてきた都市である那覇市については、これから減少に転じ2024年には30万人を割り込むと推測されており、その中でも少子高齢化の傾向が進み、2040年の高齢化率は32.4%に達すると推計されている。労働の中核的な担い手である私たち世代も含めた減少は、都市の経済⼒や地域の活⼒の維持に大きな影響を及ぼすであろう。
これまで先人の方々が沖縄経済の自立化を図ってきたように、これからは私たち青年経済人が行政に頼るのではなく「他責」でなく「自責」となり、地域の課題と向き合い、沖縄経済を牽引してきた観光産業の維持と強化に加えて、新たな基盤となる産業の創出など那覇市の地域経済に好循環となれるように行動を起こしていきたい。
新たな結束(第44回全国城下町シンポジウム沖縄那覇大会)
全国城下町シンポジウムとは、全国の城下町を持つ青年たちが一堂に会し、地域(まち)の持つ可能性を見いだすための機会とし、「よみがえれ城下町」のスローガンのもと1982年7月に長崎県松本市の地で産声を上げシンポジウムがスタートした。
2023年、この歴史ある全国城下町シンポジウム沖縄開催へ立候補し、第156回通常総会にて、全国城下町シンポジウム誘致立候補が議決された。これまでの歴史で沖縄県での開催は初となるシンポジウム大会となり、首里城復元2026年予定を目下に控えたこのタイミングで大規模事業の挑戦となる。
私たちの住み暮らすまち、かつて琉球王国では、首里城を行政の中心とし、明王朝との朝貢貿易によりアジア各国を結ぶ中継貿易で栄耀し、自らを「万国津梁」、琉球王国に宝が満ちており、海外の架け橋と称していた。全国城下町シンポジウム沖縄那覇大会を通じて、アジア貿易の中心として飛躍的に発展したこの沖縄の歴史と「うちなーんちゅ」としてのアイデンティティを再認識し、沖縄の誇りと魅力を世界に発信していく。
この大会を開催する事は決して安易なものではない。
委員会だけで行える規模ではなく組織全体が一体となり結束力が求められる。
また、私たちは改めて、全会員が目的を認識し、全国城下町青年会議所連絡協議会が主催する全国城下町シンポジウム大会の意義、目的についてもしっかりと理解しなければいけない。私たち自ら決めた第44回全国城下町シンポジウム沖縄那覇大会の主管に自信と誇りというプライドをもって私と共に挑戦していこう。
一丸となる例会へ
近年、例会は他LOMに比べて実施する回数が減り、事業に主軸を置いてきた。
私は、例会は組織を強固なものにするために大切だと考えている。
例会には「会員全員の意識統一」「学びのきっかけを作る」「事業のトレーニング」の3つ意義がある。
私たち自身が例会の開催意義を改めて理解と自覚し、志を同じくするために、相集う機会を作る必要がある。例会を構築していくメンバーは委員会の垣根を越え、メンバー同士の繋がりをより強固にするだけではなく、多くの成長の機会を得ることができる。また、メンバー以外の対外的な方々を巻き込むことで客観的で多角的な視点で事業構築をすることもできる。
近年、例会の参加率が50%前後となっている今だからこそ「例会」と「事業」の違いを理解し、勉強例会、セミナー例会、講演例会、懇親例会、家族例会など様々な例会を実施し、メンバー全員の意識が一丸となる例会を共に作りあげていこう。
最後に
誰だって、足を踏み出すことをためらう時がある。
誰だって、困難な場面にぶつかる時がある。
「意志あれば道あり」
足を踏み出すことをためらっていたり、どんな困難な道でもそれをやり遂げるという強い意志を持てば、必ず道は開けると信じている。
私たち自身が「無理」だと思うのか「できる」と信じるのか、ただそれだけのこと。
その精神を胸に共に挑戦し、失敗を恐れず行動を起こしていこう。
大丈夫。
きっと私たちにはできる。