Conviction

一般社団法人那覇青年会議所
2022年理事長所信 伊藤 貴庸

2022年 スローガン

一体感

~結束なくして成功なし~

はじめに

新型コロナウイルスの拡大でこれまで当たり前であった日常生活は失われ、沖縄県の経済に甚大な影響を与えている。会員の多くも先行きの見えない中で日々不安を抱えているが、それでも我々は青年会議所の運動の灯を消してはならない。那覇青年会議所(以下JCI那覇)は、数々の偉大な先輩を輩出していた歴史に敬意を示しながらも、この令和時代に合わせた青年会議所(以下JC)運動へ転換していく必要がある。

挫折とJCとの出会い

私は愛知県出身の父、那覇市首里出身の母の長男として大阪で生を授かった。私は中学生の時に父の仕事の関係でオーストラリアに移住し大学まで過ごした。海外での生活は語学や文化への順応に時間が掛かったが、そこは10代出逢いにも恵まれ充実した時間を過ごした。いつしか離れた日本への想いは日に日に強くなり、日本製品の良さを海外に発信したいという想いで帰国しとあるメーカーに就職した。但し、日本企業特有の縦組織、風土に馴染めず、入社2年目で仕事のプレッシャーに押しつぶされ精神的に病み、人生初めて挫折を味った。その後、結婚を機に28歳で現在代表を務める会社に入社し、沖縄に移り住んだ。最初は3年くらい営業で現場経験を積んでいずれ社長にという安易な考えでいたが、当然上手くいくはずもなく描いていた理想と現実はかけ離れていた。会社の資金繰りは火の車状態、毎月末の従業員へのお給料、取引先への支払いもままならなく、時には税金を滞納し銀行口座の差し押さえの屈辱も味わった。経営者として全てにおいて未熟で、人生2回目の大きな挫折を経験した。そんな苦しい時代に藁にも縋り自分を変えたい一心で、先輩の紹介でJCI那覇の門を叩いた。私が入会した2011年は東日本大震災が発生した年で、全ての事業が中止や延期を強いられ、JC運動を続ける意味が見出せず悶々とする日々を過ごした。

そんな時期に、私をJCに引き留めて頂いた当時国際委員長の平良貴先輩(JCI那覇第53代理事長)にお声掛け頂き、その年フィリピンで開催されたアジア太平洋会議(ASPAC)に一緒に参加したことが大きな転機となった。そこは世界中からJAYCEEが集い、人種や言語が違う相手に、己の考えを発信するJC会員の姿に当時社業でもがき苦しんでいた私には眩しく映った。これを機にJC運動への参画意識が変わりはじめ、入会4年目には国際の委員長という役職を受け、様々な困難にも直面しながらも沖縄で開催された「4カ国合同国際児童サマーキャンプ」を無事成功させることができた。事業終了後に別れに涙をするもの、親に会える安堵感が詰まった子ども達の顔は一生忘れないものとなった。

覚悟と挑戦

これまでJCI那覇では委員長をはじめ、室長、副理事長、運営専務とありとあらゆる役職を経験し、2021年で入会10年目の節目を迎えた。現在、私も含めて3年以内に卒業していく会員がJCI那覇の全体の半数を占める。継承という言葉を安易に使うべきではないが、私自身が10年間JC運動で培った経験、人脈を来年一年で会員のみなさまに伝えていきたい。

組織の一体感と広報力の強化

①広報委員会

私が考える組織改革の一丁目一番地にJCI那覇の広報力を押し上げたい。私が考える組織の「一体感」とは、会員ひとり一人がお互いに関心を持つことから始めるべきである。会員の帰属意識、チームワークを高めるため対内広報として、会員の企業情報、またその会員の人となりが分かるような情報発信を行いたい。また会員自身が所属する委員会以外の動きや事業を共有することで参画意識の醸成を図りたい。

昨今「何を買うかより、誰から買うか」に顧客の購買心理がシフトしているように、その団体に誰が所属し、理念に共感し関心を持つケースが多い。我々は地域のより良い発展を目指して運動に取り組んでいるが、市民には十分に伝わっていない現状もあり、我々の存在や運動の認知が低い状況に置かれている。JCI那覇は、新たな活動に挑戦する仲間や人とのつながりを大切にする魅力を、市民に認知、共感され、魅力に賛同する人びとが自然と集う団体になる必要がある。対外広報の強化の一環として、JCI那覇のHP、SNS、Youtubeなどのツールを活用し、KPI(目標数値)などの指標を用いて発信力の強化を図りたい。

②人財拡大委員会

一般的に組織の力を語る時のバロメーターになるのが会員数である。会員数が多ければ多いほどは発信力も高まり、また同時に地域へインパクトを起こす原動力となる。私が入会した2011年のJCI那覇は2009年全国大会那覇大会開催の余韻が残り、当時100名近い会員が在籍していた。その後、全国大会を経験した先輩方が次々と卒業し、ついに2021年は期首会員数が50名を切った。2021年安本理事長が所信で掲げた3年計画で掲げた「100名組織の復活」の1年目会員拡大は順調に進んでおり、6月末時点で26名の入会が決定した。この数字は沖縄全体の会員拡大の半分以上を占める。次年度も「拡大目標40名、必達30名」を継続して人財拡大に励んでいきたい。JCでの役職は単年度制でありながら、人財拡大は年度を跨いだ連携が成功の鍵となる。7月からの3か月間の引継ぎ期間を経て、10月から予定者段階で拡大のスタートダッシュを図り、新年の通常総会で20名の新入会員を迎えいれたい。

現在、JCI那覇の会員全体における女性の構成率はわずか6%である。我々の姉妹JCがある台湾、香港、シンガポールにおける女性会員の比率は50%近くと大きな差がある。近年、発表された男女平等指数は世界120位、先進国においては断トツの最下位と言われる事実も受け入れなければならない。これは現在JCが抱える会員数の減少と密接に関連しており、会員企業、家族に賛同を得づらい組織、会議運営をしていないか、今一度自分たちに問いただす必要性がある。2022年度沖縄地区協議会の50年の歴史で初めて女性会長が輩出される。この機運をチャンスにとらえ、女性会員の拡大、女性会員の理事役員への積極的な起用、風通しのよい組織風土の醸成を行います。

「国際交流」と「青少年育成」事業の早期再開に向けて

③国際交流委員会

JCI那覇には強固な国際的ネットワークが存在しているのはご存じだろうか。現在3か国の姉妹JCと友好締結を結んでいるJCは日本全国見渡してもないだろう。25年に渡り、友好関係を結んでいるJCI台北四海、JCI香港北區の会員たちと友情を深めてきた。また2020年には世界の金融センターとしてて名高いシンガポールに拠点を置くJCIマンダリンとも友好締結を結んだ。ここ2年は世界的なパンデミックにより対面での交流が制限されている中、オンラインでの交流は継続している。来年は世界的にワクチン接種が浸透し、海外渡航の制限も段階的に解除される見込みである。国際交流委員会では海外姉妹JCとの交流事業を再開させたい。

沖縄の魅力と地理的優位性を発信する手法としてASPAC(アジアパシフィック国際会議)を沖縄の地へ誘致したい。世界各国から約8千名のJAYCEEが集う国際大会を誘致できれば経済効果は計り知れないものがある。またそれを実現するポテンシャルが沖縄に十分にあると信じている。2009年の全国大会を開催して以来、大会誘致の機運が徐々に薄れているが、 ASPAC 誘致に向けた会員のJCI日本への出向や沖縄県内10青年会議所とのコンセンサスを図っていきたい。

④青少年育成委員会

JCI那覇はこれまで長い歴史の中、小中学生を中心とした青少年育成に情熱を注いできた。国際児童サマーキャンプ、英語スピーチコンテスト、ディベートコンテストなど形を変えて未来の沖縄を支える子どもたちに成長の場を提供してきた。真剣に向き合い事業終了後結果に涙する子どもたちの姿に我々も大きな学びを得ることができた。沖縄に住む子どもたちが、自身の成長と視野を広げる機会を提供する青少年育成事業をいち早く再開するために、「国際児童サマーキャンプ2022」を沖縄の地で開催したい。

⑤スポーツ振興委員会

私はスポーツが持つ可能性を大いに期待している。現在、沖縄県は多くの一流プロスポーツ選手を輩出しているが、近年では、指導者不足による部活動の廃止など、また沖縄県の4人に1人の子どもが貧困であるがゆえに、用具や遠征費を負担することが出来ず、夢をあきらめてしまう厳しい現実もある。沖縄県には2021年に完成した日本最大級の沖縄アリーナやプロゴルファーやプロ野球チームがこぞってキャンプを張るインフラが整い、そのプロスポーツチームを支援するスポンサード企業が存在する。これらの企業体と連携を図り、子どもたちの夢への挑戦をサポートする事業を実施したい。また来年は沖縄が本土復帰して50年という節目を迎える。新型コロナウイルスで低迷している沖縄経済の活性化を図る事業を開催したい。

成長の機会と仲間づくり

⑥人財育成ビジネス交流委員会

みなさんJCに入会したきっかけは何だっただろうか。自らJCの門を叩いたもの、会社からの指示で入会したもの。きっかけは様々違うであろう。私自身が10年間 JC 運動で導き出した JC の魅力は「常に成長の機会を与えてくれる場」であり、「心から本気で語り合える仲間作りの場」であると考える。 JC は単年度制であるがゆえに、継続性がないと揶揄されるが、1年で役職が変わる JC には常に成長の機会が溢れており、それを掴むか掴まないのも自分次第である。当委員会では未来の委員長、理事長を育成するためオリエンテーション、勉強会、交流事業を開催し新入会員の JC への理解度と結束を高めたい。現在減少傾向ではあるが、 JCI 日本には3万人近いネットワーク、沖縄県内には10LOM、250名の会員ネットワーク存在しており、 JCI那覇だけの活動にとどまらず、会員へ日本本会や沖縄地区ブロック協議会への出向やチャレンジも積極的に推進していきたい。

組織の円滑油

⑦品質向上☆総務委員会

JC 運動における総務委員会が担う役割はけして少なくない。 JC 運動を車に例えるならば、車エンジンを支える円滑油である。けして目立つ立ち回りではないが、無くてはならず常に歩みを止めることができない重要な委員会である。1年の方向性を対内外に発信する1月の通常総会、次年度理事長と監事が選出される7月通常総会、また1年の総括発信となる11月通常総会の大事な総会運営に加え、毎月の理事会運営、アジェンダ管理など業務は多岐にわたる。近年ではウエブ会議、意見シート導入による事前の意見だしなど会議時間の効率化を図りながら時代に合わせた組織運営を求めていきたい。

結びに

私たちが JC 運動を行う上にあたり絶対に忘れていけないものは感謝の気持ちである。普段私を支えてくれている家族や社員への感謝、また1年間JC運動を共に行う会員への感謝の気持ちを常に言葉にして伝え続けたい。2022年度のスローガンにある「一体感」という言葉を常に意識し、この空気感を会員皆一人ひとりと一緒に作り上げたい。全進全霊で理事長職を全うすることをここに誓う。